てぃーだブログ › ファミリークリニック小禄 公式ブログ › 日々雑感 › 沖縄の先天性風疹症候群流行 医師の視点からの報告 13.07.12


沖縄の先天性風疹症候群流行について、

医師の側からの報告が2008年に出されていました

日本の風疹・先天性風疹症候群の疫学研究 - 日本小児感染症学会
植田 浩司先生(現在 西南女学院大学、学長

復帰前の沖縄での調査研究は困難を極めていた様子が伺えます

植田先生がたまたま米国留学中に風疹の流行に出くわしたことや

福岡でも風疹の流行

そして、沖縄への「学童健診団」の一員として2ヶ月滞在したこと

この3つの偶然が研究のきっかけになったそうです

あくまで「学童健診」が目的なので、

先天性風疹症候群の調査は当時の琉球政府からは受け入れられず、

沖縄小児科専門医会(現在の沖縄県小児科医会)会長の渡口先生、吉田先生、

那覇保健所(当時)の上原先生らの協力があり実現したと書かれています


その調査結果は、(様々な理由から)あまり沖縄県には還元できなかったようです。

今から6年前に行なわれた「はしか・風疹フォーラム in おきなわ」にて、

はじめて先生ご自身による沖縄での報告会が行なわれています

~長年の胸のつかえが取れた思いであるとお話されていました~と当時フォーラムを担当した先生の記録をいただきました


先日の記事、NHKのプロデューサーさんによれば、2000年当時でさえ取材は周囲から止められていたそうなので

およそ40年の時を経て、様々な制約を解かれたのだと思います

→本当にご苦労様でした。


医学部を卒業し、米留時代~帰国後の3つの偶然から取り組まれた研究

日本とアメリカ、復帰前の沖縄のはざまで困難な政治と社会状況の中で

子どもたちのために協力しあった、沖縄と福岡の医師・医療関係者、、、

賛否両論のなか始まった聴覚障害児の医療と教育、

( 他にも、心疾患や眼疾患でも多数、沖縄から本土に渡航しています )

医学的にも社会的にも重要であるにもかかわらず、

「沖縄でのこと」となっていった当時の状況、、、

そして、風疹ワクチン、MMRワクチンの開始と中止の経緯など、


当時の医師たちの活躍・苦悩・情熱が目に浮かんでくるようです。

それにしても昔の先生方は凄かった!というのが感想です


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Posted by tochan at 12:18 │日々雑感