てぃーだブログ › ファミリークリニック小禄 公式ブログ › 新しい予防接種 › 新しい母子手帳 B型肝炎受ける必要あるの?12.02.07


新しい母子手帳になって「B型肝炎」ってなんですか?受ける必要あるのですか?という質問を多くうけるようになりました

Q1 なぜ今まで話題にもならなかったのですか?

A1 1985年の「B型肝炎母子感染予防事業」がはじまり、「これでB型肝炎はもう予防できる、もう心配ない」という油断が医療関係者にあったと思われます。

ところが、これが不完全な予防効果であったため、今でも日本はB型肝炎の中蔓延国~のままになっています

B型肝炎の地図~日本は中蔓延国11.06.21

しかし、ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンの導入をきっかけにB型肝炎ワクチンの啓蒙に取組む専門家と「VPDの会」が協力した影響もあり、2~3年前よりワクチン接種への関心が高まって来ました

「ワクチンデビューは、生後2ヶ月の誕生日」スケジュール表にも1番目に掲載されるようになっています

現在、生後2ヶ月からしか接種できませんが、0ヶ月から接種できるように(WHOの推奨スケジュール)小児科学会も働きかけています


Q2 医師に「B型肝炎キャリアが近く・家族に居ない限り受ける必要がない」と言われました

A2 血液・性交渉だけの感染だと思われていますが唾液・涙・尿にもキャリアからのウイルス排泄があります。それによって家族、保育園などの集団に感染を引き起こす事例が報告されています。

「B型肝炎 母子感染以外も」
「感染症診療の原則」より

保育所におけるB型肝炎集団発生調査報告書について(佐賀県の報告)

American Journal of Epidemiology,1987,vol125,492-498,Jun Hayashi
1987年、保育所におけるB型肝炎、2年間のフォローアップ、保育所でも感染起こしている実態報告
石垣島での疫学調査報告、保育園内での感染の様子がわかる)
埋もれてしまった貴重な疫学調査
乳幼児のB型肝炎、症状の軽い場合見逃されている可能性があります
しらないうちにB型肝炎に罹患することが稀にあるのです(血液・性交渉だけが感染ルートではありません)

乳幼児に「体液の管理」は無理なのでワクチンが必要だという専門家の意見もあります(講演会メモ)

Q3)諸外国での様子は?

A3)177カ国で定期接種、残りの16カ国で任意(日本はその1つ)

 →2013年180カ国で定期接種(イギリス、オランダなど定期へ移行)、残りの13カ国が任意接種のまま
2012年 181ヶ国で定期接種、3カ国は青少年への定期接種のため除外、英国・ノルウエー・スウェーデンではキャリア妊婦以外のハイリスクグループで公費による接種が可能(2014/12訂正)

  定期接種の50%の国では、新生児へ接種していることを多くの医師は知りません
 (新生児への接種をみたこともきいたこともない医師が実際多いのです)

「生まれてすぐのB型肝炎」

実際に自分のお子さんが生まれてすぐにB型肝炎ワクチン接種をうけている貴重な写真があります
「感染症診療の原則」より

「生まれてすぐにB型肝炎 0ヶ月からの要望書 11.12.13」

小児の肝臓疾患を専門とする先生方の啓蒙活動により「無視されてきたB型肝炎ワクチン」もようやく注目されるようになっています
講演会メモ B型肝炎ワクチン 11.08.17

講演会メモ 2 肝がん予防ワクチン11.11.22

講演会をきっかけにB型肝炎への関心が高まった地区が多くなっています

沖縄でも講演会を開催できれば正しい知識の普及につながることでしょう









同じカテゴリー(新しい予防接種)の記事

Posted by tochan at 16:58 │新しい予防接種